朝崎郁恵さん

LOVE ROCK ~human vibration
第一回目のゲストは、
奄美大島の唄者朝崎郁恵さん


鹿児島から約400キロ離れた沖縄最南端の島

奄美大島加計呂麻島に1935
年誕生。


島唄の研究をされていた父 辰恕(たつじょ)氏の影響で10代より唄を。
遊んで帰るといつも家にはご両親の三味線と唄が。
「あの家からはいつも唄がきこえてくる」といわれていたんだそう。


奄美大島は古代縄文時代から、自然を敬い自然とひとつに生きる自然信仰。
太陽に手をあわせ、月に手をあわせ、産んでくれたご両親、ご先祖様に自然と手を合わす。
そんな日常から産まれた島唄には親を、命を大切に・・・自然と共に生きる教訓の歌詞がある。
「私の唄も自然そのものなんです。」と朝崎郁恵さん。


「あらやしき~」ではじまる「おぼくり」
わけもなく涙があふれでた。

朝崎郁恵さんとの初めての出会いでした。
3月24日吉祥寺のアムリタ食堂で行われたライブ、
店内は立ち見がでるほどの大盛況!!

奄美の自然に魅了され移住して数々の作品を遺した画家田中一村さん
絵柄の色鮮やかな衣装で登場した朝崎郁恵さん。


素朴な語り口調にホッと安心感がもらえる。
そして唄。
子守唄を唄ってもらっているような、
お母さんに会いたくなるような、
なつかしくあたたかい唄。
方言交じりの初めて耳にする言葉なのに
なんでこんなに響くんだろう・・・。

「これは親が子を想って歌った歌よ」と一曲一曲解説。
文字をもたなかった奄美の島々に喜怒哀楽を表現した島唄は
全て口伝で、教育、その時々の出来事、教訓、恋愛など
様々なことを唄にして語り継がれてきた。

その数100曲を超え、驚くことに歌詞は
なんと4000~5000もあるといわれているのだそう。
というのも、”ありがとう”だけでも村によって違うほど
言葉が微妙にちがうため。唄そのものは同じで
共通の歌詞もあるので口伝で覚えていくのだそう。

”ありがとう”の意味の「おぼくり」がタイトルになっている
あの涙があふれ出た”あらやしき”についてうかがってみると、
胸のところを押さえて「”ここ”のことを唄っているのよ。」

自分でも気づかないような深い奥底の泉から突然湧き出るような涙。とても納得がいった。

「唄の背景に歴史がある。」

お母さまのお腹にいるときから唄、三味線のなかで育った。
ご両親が遊んでいつも弾いていた日常から身についた歌詞がどんどんでてくる。
それと同時に奄美の歴史も知ることに。 

「唄を残して語る人がお亡くなりになって、私たちが最後。
早くしないと遅い・・・あと10年はかかる。
島唄は親から伝えてもらった宝物。
歌ってくれる人が、伝えてくれる人がいるとやりがいがある。」

現在お弟子さんと伴にライブ活動をしながら
ご先祖さまが残してくれた叡智、想いがつまった島唄を受け継ぎ、次世代に継承されている。

朝崎郁恵さんの想い、存在自体が日本の財産のように思う。
本能に刺さりじんわりあたたかく染みてくる歌声、一度きいてみてほしい。